今日は見ただけではみなさん「?」となる道具をご紹介します。 

 

打ち台 正面.jpgこれは金具を打つ時や、手縫い用の穴などを開ける時に使う打ち台です。
Munekawaでは多くの手作りの道具が活躍していますが、この打ち台がその中でも一番と言っていいほど使用頻度の高い道具です。
そして来店された方から「何ですかこれ?」と聞かれるという意味でも一番ではないでしょうか。
下からの写真を見るとどうなっているか一目瞭然。

 

打ち台 下から.jpg 打ち台 穴あけ.jpg上が丸太、下がデスクチェアの下部という組み合わせで作られています。
Munekawaの作業場は二階にあるので、何かを打ち付けたりする作業の時は音や振動が下に直接伝わってしまいます。
そこで、デスクチェアの高さ調節用のエアをクッションとして、衝撃を吸収してくれる打ち台にしたのです。

 

 

 

サイドには革を打ち付けて、この台を使う時には必ず合わせて使うことになるハンマーをかけられるようにしています。


打ち台 横から.jpg

 

打ち台 イメージ.jpg厚みがあるような鞄の革だけでなく、財布やステーショナリーなど革小物の場合でも、穴をあけるためにはそれなりの強さで叩く必要があるので、
環境に合わせた工夫の一品です。

 

Munekawaの日々の出来事や製作のことなど→STAFF DIARY

小銭入れ【Undo】

今日は総革の小銭入れ【undo】をご紹介します。

undoはコンパクトなサイズと使い勝手の良さ、特徴的なフォルムからmunekawaの革財布、革ステーショナリーなど革小物の中でも特に人気のあるアイテムです。

 

正面.jpgコンパクトな革の小銭入れとして多い馬蹄型のものとは違い、マチをつけない構造のため、入っているコインの量が少ない時は非常に薄く、ポケットに入れても違和感のない厚みになります。使いはじめは少し硬めの革ですが、使い込むほどにやわらかくなり、必要に応じて伸びるので30~40枚のコインが余裕を持って入ります。

中.jpg

 

 

 

 

内側には小さなポケットがついているのでレシートを挟んだり、近所へのちょっとしたお買いものであればお札を挟んでこのundoだけを手に行くこともできます。

 

 

 

 

 

 

 

下の写真のように開口部のフチを少し立てて、そこにコインをひっかける形で中身を確認します。開口部を大きくとっているので、一目で中を確認できます。

 

使用.jpg

(*上記写真のネイビーカラーは現在定番カラーとはなっておりませんのでご注文いただけません。ご了承ください。)

 

グリーン.jpg←こちらは同じグリーンのundoですが、右側が新品のもの、左側が約2年使い込んだものです。新品のものは明るく、透明感のある鮮やかなグリーンですが、使い込むほどに色が深くなり、艶が出て、味わいがでてきます。このエイジングがmunekawaで使用している革の楽しみです。毎日の使用で柔らかくなり、手触りもとても良くなり手放せないアイテムとなりました。

カラーはオレンジ・グリーン・ブルー・ダークブラウン・ブラック・イエローの全6色。online-shopで各色の拡大写真もご覧になれますので、是非そちらもご覧ください。

今日も引き続き革の断面の仕上げ方について書いていきます。

 

今日ご紹介するのは「ヘリ返し」という方法です。(↓ヘリ返しをして仕上げたものです)

 

完成表.jpg  この方法は革の断面を仕上げているというより、革の断面を包んでいるという方が正確な言い方になるかもしれません。

 

ヘリ返しも前回ご説明したコバ磨きと同様、コバから繊維がひらいてくることを防ぎ、角を包み込むことで手触りを良くする目的があります。

はじめ.jpgヘリ返しでは左の写真のように、貼り合わせる2枚の革のうち、外側の革を大きくとって漉き、内側に折り返すことで断面を仕上げることが一般的です。(モノによっては1枚の革のヘリだけを漉いて、折り返す場合もあります。)今回はわかりやすいように外側=ブルー、内側=イエローの革でその部分だけ作ってみました。

 

 

この時難しいのが折り返した幅を正確に均等にしていくことです。革は薄くするほど伸びやすくもなるので、そこに注意をしながら返していきます。Munekawaでは正確な寸法に切ってから折り返していますが、少し長めに折り返して、縫った後に余った部分を切っていくという方法もあります。

 

そして、このヘリ返しの最大のポイントが角の部分の処理です。角の部分では内側より外側のほうが距離が長いため、外側から返してくる革が、内側で余ってしまいます。そこで、ここでは「菊折り」という技法を使って仕上げていきます。内側に余る分の革を順番に折り曲げていって、シワを均等に分配していくことで、その名の通り菊の花のようにキレイな仕上がりとなります。とても細かい上に正確さを求められる技術です。

 

    菊折前.jpg

↑ このように角部分の革の、外側が余ってしまいます。

菊折作業.jpg

↑ 余った部分を少しずつ、均等に目打ちを使って折り曲げていきます。

菊折終わり.jpg

↑ このように内側の革に沿って、キレイにヘリが返ります。均等にするほど厚みも抑えられて縫いやすくなります。

完成裏.jpg

↑ 最後に表側から縫って、ヘリ返しの完成です。表から見た写真が一番最初の写真です。

 

一般的に、前回ご紹介した「コバ磨き」をした場合は端に塗りこんでいく蜜蝋で全体の雰囲気が引き締まり、ストレートなラインに仕上げていくことができるので、スマートなデザインになっていきます。一方今回紹介した「ヘリ返し」をする場合はどちらかというと柔らかい印象のデザインが多いです。

 Munekawaでは基本的にどのアイテムも「コバ磨き」によって仕上げをしていますが、財布のym-walletの小銭入れ部分でこのヘリ返しという技術を使っています。

どちらの技法も細かい技術と手間が必要な仕上げ方ですが、より丈夫かつ美しく仕上げていくためにはこういった細かい部分が重要となります。

 

貼りあわせ.jpg

鉋.jpg今回は、前回からの続きで革の断面の仕上げ方、特にコバ磨きについて詳しく順を追って書いていきたいと思います。

まず、上の写真は単純に二枚の革を切ってそのまま貼り合わせたものの写真です。このように、革は切ったままだと角が尖った状態になります。

 

 

 

 

そこで、この角ばった端っこの部分を、以前にもこのブログで紹介した豆鉋を使って、削りこんでいきます。

Uの字型にするようなイメージで両角を削り、当たりが柔らかくなるように仕上げていきます。

削り上がったものが下の写真です。上の写真と見比べると貼り合わせた部分の角が丸くなっていることがわかると思います。(製作中のペンケースを例にして説明していきます。)

 

 

削り後.jpg

鉋で削った時点ではまだ表面がざらざらしているので、次にペーパー(紙やすり)で表面を整え、ふのりで革の繊維の目をつぶしていきます。一度だけでは、表面の微妙な凹凸が残るので、納得のいくまで、ペーパー→ふのり→ペーパー→ふのりを何度も繰り返し、つるつるに仕上げていきます。下の写真はふのりを塗って、強くこすり、目をつぶしている場面です。

 

ふのり.jpg

キレイに仕上がったら、次に蜜蝋を染み込ませ、コバを固めていきます。下の写真のように、アルコールランプで鉄のコテを熱し、コテに蜜蝋を溶かして、コバに塗りこんでいきます(左下にうっすら見える黄色いかたまりが蜜蝋です)。この時、コテの温度が高すぎると、革が焦げてしまい、低すぎると蝋が染み込む前に固まってしまうので、うまく革の繊維に染みこんでいきません。もちろん熱したコテを触って温度を確かめるわけにはいかないので、蜜蝋の溶け具合などからコテの温度を感じ取って、ベストな温度で蜜蝋を塗りこんでいきます。

蜜蝋.jpg  

蜜蝋がコバに染みこみ、コバ磨きが完了したものが下の写真です。光が反射するほどに光沢が出て、革の繊維の間に蜜蝋が入りこみ、硬く固まるので、貼り合わせた部分が割れて拡がるということを防いでくれます。三枚目の写真と比較すると、蜜蝋を入れてキレイに磨き上げたことで、見た目にも品のある引き締まった印象になっていることがわかると思います。大変手間のかかる工程ですが、見た目も機能性も上げてくれる大事な工程です。

最近では、顔料を表面に塗って仕上げている製品が圧倒的に多く、昔ながらのコバ磨きをしているところは少なくなってきました。しかし、その手間をかければかけた分だけ仕上がりの差となってでてくる部分なので、Munekawaでは変わらずにこだわっていきたい部分です。