革製品ムネカワMunekawa

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大阪駅からバスに乗って外を見ていると飲食店の店前の広告旗が揺れていました。

その旗には、「手作りの〇〇〇」と書いていました。

革製品でも飲食店でも、よくある状況です。

そんな時、ちょっと素直になれない自分がいます。

「手づくりでなかったらなんなの?」

 

「手づくり」「ハンドメイド」って良いイメージをつけるためには、とても便利なワードですが、革製品を作るメーカーとして感じる疑問。「手作り」「ハンドメイド」の定義がすごく曖昧な事。

どこまでが手作りで、どこまでが手作りでないのか?

昔は、お客様に「この革財布は手作りですか?」とか「このバッグはハンドメイドですか?」と聞かれるとウッと一瞬立ち止まってしまう事もありました。

革をミシンや漉き機やグラインダーなどの機器を使って加工をすると手作りでないのではないかと考えてしまっていました。

ですが、これらの財布やバッグを手作りと言わない事にしてしまうと手作りの財布やバッグは無くなってしまいますし、これらの財布やバッグを手作りと含むと全ての革製品が手作りになります。

 

 

世の中で「手作り」というキーワードをよくみる中で、何か自分の中で定義を決めないといけないと思って自分なりに「手づくり」の定義を決めました。

「機械を使うか使わないかではなく、一つ一つ思い入れをもって製品を作っている事」と定義づけしました。

この定義をもつようになってから、お客様に「この革財布は手作りですか?」や「このバッグはハンドメイドですか?」聞かれても素直に「はい。」と答えられるようになりました。

 

革製品を作る同業の方だけでなく、その他の物つくりをしている人たちは、「手作り」というキーワードにとても敏感です。

みんなが、そのことに対して自分なりに解釈して、その「手作り」の言葉を受け入れています。

手作りという言葉は、お客様にとっては付加価値をつける言葉ですが、作り手にとっては大量生産のものと同じ土俵で比べられているような感覚を持ってしまいます。

 

そのような事は、「手作り」というワードだけでなく、いろいろなところであることだと思います。

「手づくり」「ハンドメイド」「新鮮」「とれたて」「焼きたて」「高級」・・・など

イメージが先行していて、正確に伝えなくなっていることってたくさんあるなとあらためて感じました。

革の関わる仕事を始めて19年になります。この期間に本当にたくさんの革を扱い、いろいろな種類の革を見てきました。

私が、革製品を作る切掛けの一つでもあるのですが、父が過去に革の卸業をしていた事で、革の知識や目利きという点では、本当にたくさん勉強させてもらいました。
質問すれば即答してもらえる環境でしたから、本を読んで知識を詰め込もうという事もなく、自然に革の知識が入っていました。 (自分が興味を持った種類の革だけになりますので、かなり偏った知識になっていますが。)

革の事をあらためて考えると、革という素材は世の中の流れから逆行する面白い素材だと思います。
革は、重たい、傷がつく、汚れる、水にも弱い、通気性もあまり良くない。
色々探せば、ゴアテックスやコーデュラナイロンなど革を上回る素材はたくさんあります。

それでも、やっぱり革を使った製品を好まれる方が多い。
革には、ゴアテックスやコーデュラナイロンなどの素材には超える事の出来ない魅力があります。
その理由は好みやこだわり、歴史や世の流れなど、様々あると思いますが、革独特の、ちょっと不便なところがあるからこそ、逆に可愛かったり、愛着が感じられたりするのかもしれません。

そこで、今回のテーマである「革との付き合い方」という話ですが、ご来店頂くお客様に良く頂く質問No1は「革ってメンテナンスの仕方がよくわからない?」という質問です。

この質問の回答は、「3カ月ぐらいに1回レザーケアクリームやオイルを塗ってください。」と説明します。
ですが、クリームやオイルも世に出ている物でも数えきれないほどあります。
正直どれが一番良いかはわかりません。主観ですが革に合っていれば、あまり違いがないように感じています。

もちろん、弊社でもレザークリームを販売しています。
弊社取り扱いのクリームはデリケートクリームになりますので、幅広い革に使用して頂けます。
レザークリームは、一つもっていれば、使い切るのは、相当こまめに塗らないと無くなりません。
しかも、革によって塗って良いのか悪いのかわからない?ので、専用の物をもう一本という感じで、増えてしまいます。
こんなことにならないように、幅広く使えるデリケートクリームに決定しました。
革にとっては一番ではないかもしれませんが、革の保湿や耐久を上げるという面では、十分活躍できると思います。
革財布も革鞄もハンドバッグも革のソファーや家具もどれも一緒に使えるクリームとして一つあれば良いかなという発想で、このクリームに決定しました。

今まで、革製品をお買上頂いたお客様で、3カ月に1回定期的にメンテナンスをして頂いているお客様は、1割の方ぐらいだと思います。7割の方が1年に1回ぐらい。2割の方がほとんどしたことがない。という方だと思います。
レザーケアをしないからと言って使えないかという事はありません。十分使えます。
我々はご購入頂いた革製品をできるだけ長く使って頂きたいと考えていますので、レザーケアをお勧めしていますが、毎年買い換える方や経年変化をできるだけさせたくない方(*)はレザーケアをしなくても良いとおもいます。
(*)…レザーオイルやレザークリームを塗ると経年変化が進みやすくなります。

実は私もケアを定期的にしません。年に1~2回ぐらいです。
スタッフの高橋は良く革のケアをするのですが、見事に良い経年変化をしています。
深い色味に変化し革独特の淡い艶が出ています。
その時にいつも、「やっぱりレザーケアをするといい雰囲気になるのだな」と実感します。
革の経年変化を存分に楽しむには、レザーケアは必須です。

ですが、私のように財布もバッグもあくまでも、生活の中で必要な道具のような感じで使う上では、レザーケアは、そこまで重要なことではありません。
我々の製作している革製品は、生活の中で役立つ道具ですので、タフに自由に使って頂きたいと思っています。
(もし、壊れても、修理いたします。)
お客様の生活の中で活躍できるような革製品になれれば、作り手として本当に嬉しい。
そんな思いで日々製作に励んでいます。

その思いを明文化しているのが、我々のコンセプトである「愛着感じる物つくり」です。

「愛着」は、長く触れて、その物の機能や用途を上回る存在になった時に湧いてくる感情だと思います。
その様な感情が湧いてくる革製品になって欲しい。そんな革製品を作りたい。という思いの詰まった言葉です。
お使い頂くお客様にも我々作り手も愛着を感じられるような革製品をこれからも、製作し続けて行きたいと思っています。

一枚革って、漠然とした「良い」というイメージだけで接客などで言われていますが、実際のところ何がいいの?
一枚革が何故いいか考えた事ありますか。
取引先の方や友人に質問しても、何故良いのか明確な理由が答えられないけど、良いことだけは、なんとなく認識していました。

一枚革のよいところは、製作している側から考えてみると、一番の理由は大きくパーツを取っている事にあります。
細かいパーツを組み合わせて一枚革と言われても、何の意味もありません。
「一つで取れるパーツは一つで取る」という事をMunekawaでは常に心掛けています。
張り合わせや、縫製の数を減らす。そうする事で強度が上がることが多いと感じています。

細かくパーツを組み合わせた方が一枚の革からたくさんのパーツが取れる為、期待にそえる価格にするには仕方のないところもあると思います。
ですが、よくよく考えてみると、材料費は抑えられても、縫製や張り合わせの数がふえたら、その分工賃がかかるから同じじゃないの?と思ってしまいますが、革という材料は高い。

ピンキリはありますが、10cmX10cm(1デシ)で100円なんてまだまだ安い革だと思う。
布地は120cmX120cmで3000円といえば、まあまあ良い生地だと思います。
これを1デシ100円で同じ大きさにして考えてみると革は、単純計算で1mが12000円になる。
しかも、革は生き物の形をしている上に、キズやシワもあるので、これらを避けていくともっと値段は跳ね上がります。
Munekawaではだいたい、120x100サイズ(120デシ)の革があったとしたら、キズやシワよけて取ると凡そですが、
30~40%はロスになる。それらを計算していくと頭を抱えたくなるような金額になってきてしまいます。

よく通販番組とかで継ぎ合わされた鞄や財布を見かけますが、本当に素材を大切にしようと努力されていると思います。

話をもどしますが、一枚革で製品を作るという事は、そんなに簡単なことではないし、量産する事が難しいものです。
サイズが大きくなればなるほど、一枚の革からできるだけたくさんのパーツを取りたいと思うのは、だれもが思う事。
製作スタッフはそこの戦いを常にしています。
このキズ避けたいけど、これを避けたら、パーツが取れないパズルのようにいろいろなパターンで並べてみる。
これも技術の一つだと思います。
財布やバッグなどを見ていると一つの物として見てしまいがちですが、そのパーツ一つ一つに技術が詰め込まれて、製品までなっている。
そう考えると、我々の作っている以外の物も、しっかりとパーツで見てみると、面白い発見がたくさん見つけられるかもしれませんね。

今日は、一枚革について考えてみました。

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